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NRIセキュア ブログ

セキュリティ会社の人事が語る、すぐにでも採用したい人材の特徴

目次

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     デジタル技術によりビジネスが変革する中、セキュリティの重要性はどんどん増しています。そんな中で、日本では「セキュリティ人材不足」という課題を抱えている企業も多くなりました。

     

     高度なセキュリティ人材の採用だけでなく、未経験の学生を新卒採用してセキュリティ人材を「自社で育成をする」、という考えも非常に重要です。

     

     本記事では、NRIセキュアの関連会社であるユービーセキュアの人事採用担当に、未来のセキュリティ人材を獲得するために、どのような採用方針をとっているのか?どのような人材が入社後に成長するのか?などなど、採用や育成に関するお話を聞いてきました。

     

     

    澤円氏と考える「セキュリティ人材」に求められる資質と育成のポイント ~サイバーセキュリティをコモンセンスにするために~

     

     

     

    「デジタル」がキーワード

     

    ――― 採用活動を行う上での「方針」などを教えてください。

     

     まず、今年度の採用活動を行うにあたって、ユービーセキュアでは“デジタル”という言葉をキーワードにすることにしました。

     

     最近は、あらゆる産業でデジタル化のトレンドがあり、それに伴ってセキュリティベンダーへのセキュリティ診断などの依頼も増加していますが、ベンダー側のリソース不足により、診断を受け入れることができるのが数ケ月も先という状況です。また、各企業のアプリケーションのリリース速度も早まっていく中で、セキュリティ診断にも「迅速さ」が求められるようになってきました。

     

     そんな中で、「デジタル時代に適応できる人材」を獲得するということを、採用活動の方針に設定しました。

     

    デジタル化時代のセキュリティ基盤 - 再考を要するサイバーセキュリティ対策の在り方-

     

    梅村5

     

    ――「デジタル時代に適応する」というのはどのようなことなのでしょうか?

     

     その前に、まずは当社の主力事業について簡単に説明させていただきます。当社はデジタル時代の固有のニーズに対応できるユニークな強みを持っています。それがDevelopment(開発)とSecurity(セキュリティ)の融合です。

     

     セキュリティ診断を行っている会社は多くありますが、その中で当社のような「セキュリティ診断を行うためのツール」を自社開発している会社はごくわずかです。そして、この『Vex』という診断ツールは、海外製品が強い市場の中でこれらに打ち勝ち、3年連続国内市場シェアNo.1※を獲得しています。最近では海外展開 も積極的に進めています。 

    ※2017年度実績:富士キメラ総研「2018年ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(セキュリティ検査ツール/Webアプリケーション型)」

     

     『Vex』を使うことによって、ベンダーへ診断を依頼することなく、自社でセキュリティ診断の内製化を進めることができます。これによって、デジタルビジネスを加速させる、アプリの迅速なリリースにつながります。

     

     つまり、Dev(開発)とSec(セキュリティ)を融合させていくことが「デジタル時代に適応すること」であり、これこそが当社が持っているユニークかつ最大の強みです。なので、当社としては「開発」と「セキュリティ診断」のどちらもできるような人材を育てていきたいです。そういった人材を育てていくことが、当社がさらなる飛躍をしていくためのカギだと考えています。

     

    デジタル・セキュリティの時代に向き合う 

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    ――実際に今年度はどのような採用活動を行ってきたのでしょうか?

     

     会社が市場で認められはじめ、成長を続けていく中で、優秀な社員の獲得は経営課題の一つです。親会社のNRIセキュアとも連携しながら、ユービーセキュアの魅力が学生にきちんと伝わるようなコミュニケーションを考えて実行をしてきました。

     

     実際に今年度行ってきた活動として、大きなものを2つ紹介します。

     

    ①インターンシップ

     ユービーセキュアでは昨年の冬より1Dayインターンシップを開催しています。『Vex』を実際に使ってセキュリティ診断業務の体験をおこなってもらう、というものです。

     

     参加した学生からは、実際にツールを触って体験できるインターンシップはなかなか無いので有意義な体験だったという感想をもらいました。プロも仕事で使っているツールですので、業務内容をより具体的に感じることができるような充実した内容です。

     

     実際に『Vex』を触ったり、開発者本人から開発秘話を交えた実装上の苦労を聞いたりすることで、使う側の視点と開発する側の視点の両方を、「当事者」として理解してもらうことを意識しています。「自分も作ってみたい」という気持ちになってもらい、それが「セキュリティ業界にも貢献するし、世界をより安全にできるんだ」という考えにつながってもらえたら嬉しいですね。そんなことができる会社はそう多くありませんから。インターンシップはこの冬にもまだ開催する予定です。

     

    インターンパンフ_A4横

    インターンシップイベントの告知ポスター

     

    ②会社説明会

     今年度は全国を行脚して計24回の説明会を実施しました。セキュリティ業界というニッチな世界なので、ピンポイントでこの業界を志望しているという学生に出会える機会はまだまだ少ないです。そんな中、学生にユービーセキュアを知ってもらうのに有効な手段が学校との連携であると考えています。今年度はOBがいる学校を中心に学内での説明会も積極的に行い、進路科や研究室の先生と情報交換をする機会を増やしていきました。

     

     最近の工学部では「IoT」を学生が構築する、というのも普通のことのようです。ものづくりの力で世の中をよくしたいと考える学生は多いと感じています。そこで、「セキュリティが担保されていなければ、逆に実世界に害を与えることになる」といった問題を提起して、学生の視点を拡げられるように努めています。

     

     先日、社長とOBである社員と3人で、ある大学にお伺いさせていただきました。説明会が終わったあとにある学生から、「みなさん、とても明るくて仲が良さそうですが、社内の雰囲気もそんなに明るいんですか?」と聞かれました。その学生にとってセキュリティ業界は堅くて淡々と仕事をしているイメージがあったようです。こんな小さなことからイメージって変化するものなんだとその時に実感をしました。

     

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     一人でも多くの学生に当社を知ってもらうために地道に学生との接点を増やし、コミュニケーションを取ることがまだまだ重要であると実感しました。デジタル時代でも、「足で稼ぐ」というようなアナログな面も欠かせないですね。

    「デジタルネイティブ世代」が考えていること

    ――採用活動では、どのような学生が多かったのでしょうか?

     

     今の学生は「デジタルネイティブ世代」です。これは、学生時代からインターネットやパソコンが当たり前のようにある生活環境の中で育ってきた世代のことで、今まさにこのデジタルネイティブ世代が就職活動の真っ最中なのです。

     

     就職活動というのはまさに情報戦です。デジタルネイティブ世代は、ITリテラシーが高いので、常に自分の周りに情報があり、いつでも簡単に必要な情報を得ることができます。

     

     その一方で、これらの大量の情報が本当に正しいものなのか自信が持てず、結局何を信じていいのかわからなくなっている学生が多いのではないかと感じました。

     

    Back view of businessman reading documents in hand

     

    ――学生はセキュリティ業界に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。

     

     “セキュリティ業界は人材不足”、“IT業界は激務”、“業務内容が不透明”などたくさんの声が聞こえてきました。そして、その中でも多く聞かれたのが、『難しそう』という声でした。

     

     興味はあるけど、難しそう。セキュリティ知識が事前に身についていないとついていけなさそう。こんな風に漠然と感じている学生が多いような気がしました。

     

     「セキュリティは難しそう」と考え、興味はあるが一歩を踏み出し切れない学生に、少しでもセキュリティに触れる機会を提供し、「自分でもできるかも」「やってみたい」と興味・関心を持ってもらえる場所を提供することが重要だと感じました。

    セキュリティ業界で爆速で成長する人の特徴

    ――入社後の成長が早いのは、どのような人でしょうか?

     

     情報に対して『アンテナの感度が高い人』が、成長のスピードが早いと思います。

     

     ユービーセキュアでは、新入社員の研修の一環として朝の1時間を使ってセキュリティに関連するトピックを社内システムに投稿してもらう時間を設けました。気になったセキュリティニュースをピックアップし、自分の所感を付けて投稿するというものです。狙いはセキュリティをより身近に感じてもらい、常に様々なセキュリティテーマにアンテナを張れる人材になってもらうことです。

     

     初めはニュースを探すのに苦戦していた新人たちも1ヶ月も経てば、何を見るべきかわかるようになってきて、投稿スピードが上がります。セキュリティに興味を持って自分なりに考えてみる。自分ならどう考えるか、どう対応するのか。セキュリティに対して、『当事者意識』を持ちながら、世間のあらゆる情報をとらえる。これこそが、セキュリティ人材として成長するために、必要不可欠な資質だと考えています。

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    UBセキュア社内のセキュリティトピックの投稿ページ、社内では「What’s new」という呼び名

     

    セキュリティ人材の育成ステップ|サイバー時代に最適な資格と研修 

     

    ――それ以外に重要な資質はありますか?

     

     デジタル時代でセキュリティベンダーの筆頭となる企業でいるためには、当社の強みであるDevSecの融合を強化するだけでなく、『アナログな価値観』を重視することも必要だと考えています。

     

     たくさんの情報があふれている現代だからこそ、「あの人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるような、人との繋がりや信頼関係などを大切にする。そんな従来のビジネスでも重要だったアナログな価値観が、今後は一層重要になってくると思います。ユービーセキュアではそんな価値観にも共鳴してもらえるような人材を獲得していきたいと思います。

     

    内定式

     内定式の様子、UBセキュア観堂社長より内定証書を授与

     

    おわりに ~デジタル時代のアナログなコミュニケーション~

     学生にもっともっとセキュリティ業界、そして、ユービーセキュアを知ってもらいたいという思いから、学校回りや内定者懇親会などの対面でのコミュニケーションを大切にしているという梅村さん。「セキュリティを身近に感じてもらって、学生が未知の業界へ一歩踏み出そうと思えるような機会をこれからも提供し続けていきたいと思います」と、一生懸命に語る横顔が印象的でした。

     

     「デジタル」が全盛の今、企業が人を惹きつけるために必要なのはもっと人間味にあふれた「アナログ」なコミュニケーションなのかもしれません。

     

    グローバルなセキュリティ資格「CISSP」取得のためのガイドブック

     

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